おれたちの伝承館(南相馬市)を訪ねて
私は今福島に来ています。
福島に暮らす親子のための保養活動をしている八王子・生活者ネットワークの仲間たちが、
原発関連の展示施設を巡る福島ツアーを企画したところに入れてもらったのです。
なかでも私設の「おれたちの伝承館」が圧巻でした。
アートで福島第一原発事故を伝承しようというこの施設では、原発事故により故郷や日常を喪失し、
尊厳を傷つけられた人々の手による作品が展示されていて、一つ一つの作品から静かな怒りと深い悲しみが感じられました。
皆さんは、原発事故直後、福島の避難指示区域で牧場に置いていかれた牛たちのことをご存知ですか。
水を求めてもがき苦しみ、牛舎の柱を齧って命を繋ごうとしていました。
そうして亡くなった仔牛が見つかったとき、その姿が紙のようだった、という新聞記事から生まれた作品が伝承館に展示されています。
人間の、エネルギー政策の失敗から喪われた命の最期の姿に胸が潰れる思いです。
こんなことを二度と起こさないために。
自分が日々使うエネルギーを選ぶことも大事。
そして、エネルギー政策の方向性を決める政治家を選ぶ私たちが、その鍵を握っています。
金子アキコ